配合も削り方も精米も全部変えてます
大本
城さん:
その辺はやっぱり技術力ですね。何を混ぜるかによって、1たす1がマイナス1にも、美味さを倍増することもあります。ただ、当たり前ですけど絶対同じものが毎年収穫出来ないのが、農作物・お米なんです。だから、お客様に1年を通して安定した食味、価格を提供し続けるための仕入れは、米屋にとって一番の大仕事になるんです。そして、お米屋さんにとっての仕事の醍醐味、それこそがブレンドですね。
大本
城さん:
そうです。それで、今、飲食店様とお取引していただいているんですけど、そこでは全て僕がブレンドして配合変えながら提供しています。
大本
城さん:
そうそう。初めにある程度ヒアリングもしますが、そこで食べたりもしてみて。カテゴリー、メニューに合わせて、お店ごとにオリジナルのブレンド米をお届けしています。お付き合いの前のサンプル提案の際、即OKな時もあるし、もちろん何度もあかん時もありますよ。それで調整して。
それとも、他にも職人技的な要素があるんですか?
大本
城さん:
お米を配合する以前にお米そのものによって結局、削り方も精米のやり方も違います。
もちろん、お米屋さんにとって、歩留りの計算、それこそが最も重要となります。仕入れた米の価格に対してどれだけのプラスαの価値を生むかどうか。削りすぎるとモノもなくなりますから…。
先ほど述べたように、毎年同じ産地、品種のお米でも、精米具合は変えてます。その時に応じた精米を心掛けています。そしていつも、精米前の玄米を見て、触り、数粒噛んでみるんです。香りや味、また水分の確認をするんです。
お米はひと粒ひと粒に水分を含んでいるんです。白米では見分けにくいのですが、玄米で見てみると素人目でもわかるくらいの違いがあります。瑞々しいもの、渇いたもの、青く未熟なもの、それらを把握してから精米に取り掛かります。
大本
城さん:
一般のお米は、水稲うるち米といって、水田で育まれるため、元々収穫した際、モミの状態では水分量は20~30%あります。そこで、乾燥具合を調整するんです。もみを乾燥機に入れて、大体14.5%くらいに設定するんですよ。
高知県にいた時、農産物検査員として毎年何千袋と玄米を検査してきました。その検査項目の中に水分量を図る項目があり、16%以上を超える検体は規格外として早急に流通させたりしました。数%の違いといえ、含水率が高いとカビや古米臭の原因につながる品質劣化を起こすんですよね。
店づくりに全部役立ってます
大本
城さん:
もう十何年(この商売を)やってますからね。
そうやって色々と他府県に行くとか、どんどん新しい仕事を自分で作っていって、尚且つ、自分でおもしろいと思う好奇心が湧くフィールドをこう開いて行って。
大本
城さん:
面白かったんですかねぇ、やっぱり。量販店様に新提案する際、お米のパッケージやブレンドのネーミングなんかも、結構自分達で考えるんですよ。
ただの「コシヒカリブレンド」じゃなくて、「稲穂の香り」とかの名前にして…そういうの、ありますよね?日頃から県外にもよく出かけました。お買い物というよりも市場調査ですね。お米はもちろんですが、食品やお菓子などのパッケージやネーミングなど、百貨店や量販店にはよく行ってたと思います。まさに、「見てるだけ~」。
そういった意味では、アパレルの経験がよかったのかもしれませんし、流通関係に勤めていた時も、業務スーパーみたいなところにいたんですよね。その時々のレイアウトやら、季節商材をどう展開してどう見せて…など、そんな色んな蓄積があって、今の店づくりに全部役立っているなあと思います。